139さん、という元上司について以前書きました。今日は彼の命日です。

ビール(訳あって2杯まで)とえびせんをつまみながら、しんみりと139さんとの思い出を回想しています。同僚と一緒に、酔いつぶれた139さんを担いで、ご自宅を探し歩いた夜明け。飲んでる最中に仕事のことで言い争いになって「帰れ!」と言われて帰ったら、「どこにいるの〜なんで帰っちゃったの〜」と電話がかかってきたこと。ろくな思い出が出てきません。かっこよくてカリスマで、仕事では一時代を築いた偉大な上司だったのに、思い出すのはダメダメエピソードばかりです。

そんな139さんとの、大事な思い出があります。
取引先の接待の帰り、残務処理で会社に戻ったのは深夜でした。あれ、まだ電気ついてる。しかも大音量で音楽が鳴り響いてます。会議室をのぞくと、なんか酒臭い。
「おー、おかえり。飲もうぜ。」139さんと秘書のAちゃん、ベロベロです。
「どんとが死んじゃったんだよ。」
会議室のモニターには、「ボ・ガンボス」というバンドのライブ映像が流れていました。ボ・ガンボスとは、私たちがいたレコード会社に以前所属していたカリスマバンド、そして、「どんと」さんは、そのボーカリスト。私はお会いしたことがなかったけど、139さんは若い頃からミュージシャンとスタッフという関係性を超えて信頼し合い、すばらしい音楽をともに世に送り出していたのです。
まだ37歳だったどんとさん。旅行先のハワイで急死されたそうです。あまりにも若かった。けど、日本の音楽シーンに彼が残した功績の大きさは計り知れません。その時を共有してきた139さんの悲しみが、お酒の匂いと一緒に会議室に充満していました。ノリノリとしみじみを何度も繰り返し、酔っ払い3人のボ・ガンボスな夜は更けていきました。

今は139さんも雲の上です。彼が知る由もありませんが、私は今、どんとさんの生まれ故郷、大垣市に住んでいます。そして、どんとさんもまた知る由もありませんが、その大垣市のはしっこには139ロード(県道139号)もある。

なかなかのご縁に、ついついビールがすすむ夜です。